アカハラについてのアンケート調査(2資料)
アカデミック・ハラスメントの生起実態とその背景要因の分析
2010年の論文です。大学院生を対象としています。
概要
某大学の大学院生を対象に調査を行った。 調査の許可 を得ることができた文系・理系のいくつかの学部に, 質 問紙 1700 部を配布し, そのうち 516 名から回答を得た (回収率=29.4%)。 そのうち, 回答に不備の多かった者 および性別が不明であった者 6 名を除いた 506 名を分析 の対象とした。 男女の内訳は, 男性 328 名, 女性 178 名 であった。 平均年齢は, 24.9 (男性 24.6, 女性 25.7) 歳 であった。
アカハラに関わった事のある人の方がアンケートに回答しやすい可能性がある事に留意する必要があるかもしれません。
また、セクハラなどはアンケート対象ではありません。
考察
全国における、何かしらのアカハラ経験がある大学院生の人数のオーダー
table 1によると、何かしらアカハラ経験有りと回答した人の割合( 「A~Dのいずれか一つでも有ると回答した人」の合計人数(平均%) )は、 18.0%です。つまり、
506 × 0.18 = 約91人
が、何かしらのアカハラ経験ありという事になります。
この値を元に、全国の大学院生の内、アカハラ経験が有る人を推定したいと思います。
まず、全国の大学院生の人数は、この論文が作成された2009年度(平成21年)において、26,3989人です。(下記資料の「大学」の2ページ目にある修士課程・博士課程・専門職学位課程の人数より。)
次に、質問紙に回答しなかった人は、アカハラ経験がない可能性が高い、という可能性を考慮して、
という両極端の場合を考えます。
すると、推算値は、
aの場合:91 / 1700 × 26,3989 = 1,4131
bの場合:0.18 × 26,3989 = 4,7518
となります。
よって、平成21年度において、何かしらのアカハラ経験がある大学院生の人数のオーダーは、数万であると推測できます。
ただし、このアンケートはセクハラなどを含んでいないため、それらを含めると数はもっと多くなるはずです。
この論文の発表から10年が経過した現在においては、
大学院生の人数はあまり変わっていません。( 文部科学統計要覧(平成31年版):文部科学省 )
上記2点から、現在における人数は、当時(10年前)よりも少なくなっているはずです。