大学が発表しているアカハラ件数(2資料)
追記
- 2019/12/7 : 「学生数に対する被害者が学生 & 加害者が教職員の相談件数の比率」を追加しました。
2大学の資料を通した考察を先に書くと
- 全国における被害者が学生 & 加害者が教職員の総相談件数は、オーダーが数百~数千だと推測できます。
ハラスメントのない立命館大学をめざして
概要
「立命館大学ハラスメント案件集計表(2011 年度~2016 年前期) 」の章に、各年のセクハラ 、アカハラ 、パワハラ相談件数と、加害者・被害者の職階/学位が件数と共に記載されています。
また、ハラスメント認定を受けた件数も記載されています。
考察
被害者の内、学生・教員・職員の比率
被害者合計件数の内訳(n=233)
項目 | 割合 |
---|---|
学生 | 約6割 |
教員 | 約2.5割 |
職員 | 約1.5割 |
学生数に対する被害者が学生の相談件数の比率
まず、2011年 - 2016年の6年間のセクハラ 、アカハラ 、パワハラ相談件数の平均は約39件です。((43+53+30+34+46+27)/6)
そして、上の比率を使うと、
項目 | 件数(約) |
---|---|
学生 | 23 |
教員 | 10 |
職員 | 6 |
に分解できます。
ここで、立命館大学の学生数は、
項目 | 総数 | 一学年の人数(約) |
---|---|---|
学部 | 32,338 | 7,500 |
博士課程前期課程・修士課程 | 2,557 | 1,250 |
博士課程後期課程 | 516 | 130 |
その他 | 444 | - |
計 | 35,865 | - |
※ 学生・生徒・児童数 (2019年5月1日現在) - 学校法人立命館を元に計算。「その他」は「博士課程(5年一貫制)」「博士課程(4年制)」「専門職学位課程」の総称です。(「2019年5月1日現在」と記載されていました。)
です。
したがって、約36,000人の学生に対して23件の相談が発生している事になります。つまり、約1,600人の学生に対して1件の相談が発生していることになります。
学生数に対する被害者が学生 & 加害者が教職員の相談件数の比率
資料の表において、
相談者の列の値が「院生」「院中退」「修了生」「研究生」「専修生」「学部生」
相手方の列の値が「院生」「修了生」「学部生」以外
の件数は94件です。( 計算式:( 38 + 1 + 2 + 1 + 3 + 94 ) - ( 8 + 1 + 4 + 32 ) = 94件 )
そのため、6年間の総相談件数233に対する比率は、
94 / 233 = 約4割
となります。
前節で、学生が被害者の相談(総談件数の約6割を占める)について計算した結果、1,600人に対して1人という結果となりました。
今回は、総談件数の約4割を占めるので、
1,600 × ( 6 / 4 ) = 2,400
つまり、2,400人の学生に対して、被害者が学生 & 加害者が教職員の相談が1件発生している事になります。
国立大学法人岡山大学におけるハラスメント相談受付件数
概要
平成16 - 平成28年におけるセクハラ 、アカハラ 、パワハラ、その他の相談件数・人数、処分件数が記載されています。
また、加害者・被害者の職階/学位も記載されています。
考察
被害者の内、学生・教員・職員の比率
被害者合計件数の内訳(n=128)
項目 | 割合 |
---|---|
学生 | 約5割 |
教員 | 約3割 |
職員 | 約2割 |
被害者合計人数の内訳(n=186)
項目 | 割合 |
---|---|
学生 | 約6割 |
教員 | 約2.5割 |
職員 | 約1.5割 |
学生数に対する被害者が学生の相談件数の比率
まず、平成16年 - 平成28年(2004年 - 2016年)の相談件数の平均は8.3件です。((6+13+3+3+11+12+11+8+14+5+5)/11)
そして、上の比率を使うと、
項目 | 件数 |
---|---|
学生 | 4.15 |
教員 | 2.49 |
職員 | 1.66 |
に分解できます。
ここで、岡山大学の学生数は、
項目 | 総数 | 一学年の人数(約) |
---|---|---|
学部 | 10,148 | 2,500 |
修士 | 1,670 | 850 |
博士 | 1,210 | 300 |
計 | 13,028 | - |
※ 学生数 - 国立大学法人 岡山大学を元に計算。(「平成29年5月1日現在」と記載されていました。)
です。
したがって、約13,000人の学生に対して4.15件の相談が発生している事になります。つまり、約3,100人の学生に対して1件の相談が発生していることになります。
学生数に対する被害者が学生 & 加害者が教職員の相談件数の比率
資料の表において、
「被害者とされる者」の列の値が「学生」の件数は66件
「加害者とされる者」の列の値が「学生」の件数9件
です。この表では、被害者と加害者の対応関係が記載されていないため、
学生が被害者で、かつ学生が加害者の件数は不明です。
しかし、立命館大学の資料では、学生以外が被害者で、学生が加害者の件数は0でした。
そこで、今回は、学生が加害者である9件について、被害者も全て学生であると仮定します。
すると、被害者が学生 & 加害者が教職員の相談件数は、
66 - 9 = 57
件となります。
この数値を、総相談件数128でわると、
57 / 128 = 0.44
となります。
前節で、学生が被害者の相談(総談件数の約6割を占める)について計算した結果、3,100人に対して1人という結果となりました。
今回は、総談件数の0.44を占めるので、
3100 × ( 6 / 0.44 ) = 約4200
つまり、4,200人の学生に対して、被害者が学生 & 加害者が教職員の相談が1件発生している事になります。
2大学の資料を通した考察
文部科学省の統計によると、平成30年度の大学(大学、大学院およびその他準ずる機関)の在籍者数は290万人です。
ここで、立命館大学と岡山大学における、被害者が学生 & 加害者が教職員の相談件数は、
でした。この値を元に、全国の総相談件数を推定すると、
立命館大学での値を元にした場合:290万 [人] / 2,400 [人 / 件] = 約 1,200 [件]
岡山大学での値を元にした場合:290万 [人] / 4,200 [人 / 件] = 約 690 [件]
となります。
したがって、全国における被害者が学生 & 加害者が教職員の総相談件数は、オーダーが数百~数千だと推測できます。
注記
- 「学生数に対する相談件数の比率」を計算において、学生数の期間と統計値の期間が異なるため、その事によって実際とのずれが生じている可能性があります。